筋トレをすると薄毛になるという俗説があります。
筋トレは本来健康に良いものですが、それにもかかわらず薄毛になるというのはおかしな話です。
なぜ、このような俗説が広まったのでしょうか?
そこで、ここでは筋トレが薄毛を進行させるという誤解を解きつつ、薄毛男性こそ筋トレで体を鍛えるべき理由をお伝えします。
この記事を書いたのは?
毛髪診断士 佐渡山宗平と申します。
薄毛でも女性にモテている男性はたくさんいます。
異性にモテる要素はさまざまですが、引き締まったプロポーションが男女ともに魅力的なのは疑いのないことでしょう。実際、セレブのなかにも頭髪は寂しくても鍛え上げられた肉体で女性にモテモテの男性はたくさんいます。
それなのに、筋トレが薄毛を進行させるという誤解が広まっているのはたいへん嘆かわしいことです。
そこで、筋トレと薄毛は関係ないことを明らかにし、薄毛男性が迷いなく筋トレに励むことのできるよう、価値ある情報を提供したいと思います。
筋トレが薄毛を進行させると言われる理由
しかし、そんな俗説が広まったのには理由があります。
そこで、以下の3つのキーワードから、筋トレが薄毛を進行させるという誤解の理由と、それが間違いの理由を説明していきましょう。
- 男性ホルモン
- たんぱく質
- 活性酸素
① 筋トレで増えた男性ホルモンが薄毛を進行させる?
筋トレをすると、体は筋肉を肥大させようとしてテストステロンという男性ホルモンの一種を活発に分泌します。
このテストステロンこそが男性らしい活力の源です。
一方、男性の薄毛で最も大きな要因を占めるAGAとも関わりのある男性ホルモンのため、筋トレをすることでテストステロンがの分泌が活発になると、薄毛になってしまうという話が広まったのでしょう。
AGAは、男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロンが、ヘアサイクルを阻害することで抜け毛や薄毛を招く症状です。
このジヒドロテストステロンとは、テストステロンが5αリダクターゼという酵素と結びつき変化したものです。
これだけを聞くと、筋トレによってテストステロンの分泌が増えるということは、AGAも進行しそうに思えますが、そうではありません。
なぜなら、AGAはテストステロンの量ではなく、5αリダクターゼという酵素の量と男性ホルモン受容体が大きく関係しているからです。
筋トレでテストステロンを増やしても、5αリダクターゼが少なければジヒドロテストステロンは活発に産出されません。
また、ジヒドロテストステロンが増えても、それと反応する男性ホルモン受容体の感受性が低いと、抜け毛や薄毛を招く成長抑制因子が発生しづらいことがわかっています。
ここがポイント!
ですので、現在AGAでない方が筋トレによって薄毛になるということはありません。
また、もともとAGAになりやすい体質の人であれば、筋トレとは関係なく薄毛になる可能性が高いと言えるでしょう。
② 髪の毛よりも筋肉にたんぱく質が使われる?
髪の毛の成分はほとんどがたんぱく質です。筋トレで筋肉を大きくするためには、たんぱく質をたくさん消費します。
それを考えると、筋トレで筋肉にばかりたんぱく質を使っていると、髪の毛に必要なたんぱく質が不足して薄毛になってしまうと心配してしまうのもうなずける話です。
ここがポイント!
しかし、現代の食生活で、髪の毛に影響が及ぶほどたんぱく質が不足することはほとんどありません。極端なダイエットでもしない限り心配ないのです。
また、本格的に筋トレをする人は、たんぱく質を効率よく摂取するためにプロテインをよく摂取しますが、これが薄毛と関係しているという俗説もあります。
しかし、これも関係ありません。
プロテインとは、良質なたんぱく質やアミノ酸を摂取しやすいように加工した製品ですので、むしろ髪の毛の成長には良いのです。
もっとも、どんなものでも過剰に摂取すると体に悪影響が出ますから、通常の食事を極端に制限してプロテインばかり過剰に摂取するというような生活では、髪の毛を始め健康にも悪影響が出てしまいます。その点は気をつけましょう。
③ 活性酸素が老化を早める?
筋トレのようなハードなトレーニングの場合、体は大量の酸素を消費するため、活性酸素が増加しやすい状態です。
活性酸素というと、体を酸化させて老化を早める物質というイメージがあります。そのため、筋トレが薄毛を進行させると考えられるのでしょう。
しかし、活性酸素は体にとって悪い物質とは限らず、細菌から体を守るなど免疫機能としての役割も持っています。
そもそも、筋トレによって酸素の消費量が増えたぐらいで老化には繋がりません。
ここがポイント!
それより、運動不足の方が体を老化させ薄毛を進行させます。
活性酸素の心配をして筋トレをしないというは間違いなのです。
薄毛男性が筋トレすべき理由
筋トレが薄毛を進行させると言う俗説が間違いであることをお伝えしてきましたが、ここからは薄毛男性こそ筋トレすべき理由を見ていきましょう。
成長ホルモンの分泌が育毛にもつながる
筋トレをすると大量の成長ホルモンが分泌されます。
通常の生活では、寝ている間ぐらいしか活発に成長ホルモンが分泌される時はありませんが、筋トレをするとその直後から大量に成長ホルモンが分泌されて、アンチエイジングや美容の効果が生まれるのです。
ここがポイント!
つまり、薄毛の人こそ成長ホルモンを積極的に分泌して、老化を防ぐことが大切なのがおわかりでしょう。
何もしないと、年齢を重ねるほどに成長ホルモンの分泌量は減っていきます。
筋トレで生活習慣が改善する
なんとなく筋トレをするだけで勝手に筋肉が大きくなるほど、筋トレは甘いものではありません。
ここがポイント!
筋肉を肥大させるには、良質なたんぱく質を始め、さまざまな栄養成分をバランス良くしっかり摂取することが大切です。
また、食事の栄養を効果的に体内で働かせるには、喫煙や飲酒といった悪癖をなくし、早寝早起きの規則正しい生活を心がける必要があります。
身に付けた筋肉の鎧が薄毛のコンプレックスを解消する
筋トレをして体に変化が表れると自信になります。これは誇張でもなければ気のせいでもありません。
筋肉によって確実に自信がつき、コンプレックスが解消されるのです。具体的に見ていきましょう。
見た目が良くなる
筋トレをして筋肉が増えると、体はどんどん引き締まって見えます。
筋肉が増えると、それだけ代謝量が上がるため、体重が増えるとしても余計な脂肪は削ぎ落とされ、引き締まったプロポーションになっていくのです。
引き締まった自分の体を鏡で見れば、見た目に対する自信だけでなく、それを努力で手に入れたことによる内面への自信もつきます。
ここがポイント!
薄毛という自分の意思とは関係ないことが原因のコンプレックスを、自分の努力で手に入れた引き締まった体への強い自信が打ち消すのです。
体力がつく
筋トレで筋肉を増やし、肉体を強化すると、それだけでも体は健康になります。
余計な脂肪がなくなり、体が軽くなって、体力も増していくように感じられるでしょう。
そうなると、これまでより生活のさまざまな場面で体力的な負担がなくなり、楽に感じられるようになります。
やる気が生まれる
筋トレをすることでテストステロンという男性ホルモンが分泌されることはお伝えしましたが、このホルモンは、またの名を「やる気ホルモン」というほど、精神にポジティブな影響を与えることがわかっています。
積極性が増し、活動的になり、何でもできるような万能感が得られるのです。以前は尻込みしたようなことにも積極的に挑戦できるようになります。
つまり、女性にもアプローチできるようになるため、それだけ女性に好意を持ってもらえるチャンスも増えるのです。
脳が活性化されてうつ病を予防する
筋トレで向上するのは筋肉だけではありません。筋トレを行うことで脳に刺激が与えられ、注意力や記憶力といった能力も向上させることができます。
また、テストステロンだけでなく、
- ドーパミン
- エンドルフィン
- セロトニン
といったホルモンの分泌も活発になります。
ドーパミンとは快感をもたらすホルモンで、エンドルフィンとはマラソン選手のランナーズハイで知られるように苦痛を和らげ快感をもたらす脳内麻薬と言われるほどの物質です。
また、セロトニンは別名「幸せホルモン」とも呼ばれ、心に幸福感を与える物質です。
セロトニンが不足することがうつ病の原因の一つとされているように、筋トレによってセロトニンの分泌量を増やすことで、うつ病予防にもなるのです。
薄毛でも逞しい男性はモテる
「どうせ薄毛だから女性にモテない」と最初から諦めている男性もいるのではないでしょうか?しかし、女性が見るのは男性の髪の毛だけではありません。
鍛え上げられた男性の肉体に魅力を感じるという女性はたくさんいます。
男女問わず筋トレやシェイプアップに精を出す人は多いですが、それは、男女ともに鍛え上げられた肉体に魅力を感じるからです。
ここがポイント!
また、筋肉がついて均整のとれたプロポーションを実現するためには、日々のトレーニングだけでなく、栄養管理や規則正しい生活も必要です。
筋トレで見た目が変わった男性に対して、女性はそれだけの努力が裏に隠されていることを知っています。
何の努力もせずに薄毛でメタボの中年太りの男性と、薄毛でも努力と節制で鍛え上げられた肉体を手に入れた男性の、どちらがモテるかは明らかでしょう。
また、筋トレによって生まれた自信は男性を魅力的に見せます。自信がある逞しい男性と自信のない弱々しい男性、これもどちらがモテるか言うまでもないことです。
筋トレの注意点
ここまでの説明で、薄毛男性が筋トレをしない理由はないことがわかりましたが、これから筋トレに励もうという男性のためにちょっとした注意点をお伝えします。
無理な体重制限は薄毛を進行させる
現在太っている人なら、一度しっかり体重を落としてから筋肉をつけていこうと考えるかもしれません。
しかし、食事制限などで無理に体重を落とすのはNGです。
筋トレしつつ栄養バランスにも気をつけて、徐々に体重を落として行くのなら問題ないですが、短期間で体重を落とすために食事を抜いたり極端な食事制限をすると、栄養不足になってしまい、筋肉にも髪にも悪影響が出ます。
それに、無理な食事制限は精神的にも多大なストレスです。薄毛にとってストレスは大敵ですから、筋トレを行う際はストレスにならない程度を心がけましょう。
ここがポイント!
体を鍛えたらモテるからといって、そのために心身を疲弊させてしまっては意味がありません。半年や1年など長期スパンでじっくり取り組んでください。
栄養バランスには気をつけること
効率よく筋肉を肥大させるには、栄養バランスが大切だということは先ほどもお伝えした通りです。
筋肉も髪の毛もたんぱく質が材料ですから、たんぱく質はしっかり摂りましょう。筋トレと同時にダイエットもする場合、糖質制限など多少の食事制限も必要ではありますが、それもほどほどにしてください。
高い負荷によって傷ついた筋繊維が、栄養や休養によって修復されて、以前より肥大するというのが筋トレの基本的な仕組みです。
それには大量のたんぱく質が消費されます。
たんぱく質が不足すると、髪の毛に使われるべきたんぱく質まで筋肉の修復を優先することになります。
ここがポイント!
そうなると、薄毛が進行してしまいますので、薄毛男性は栄養バランスと摂取量に十分気をつけて筋トレを行うことが大切です。
まとめ
筋トレが薄毛を進行させるという俗説は、完全な誤りだということをお伝えしてきました。
そして、筋トレによって強靭な肉体を手に入れることで、薄毛でも女性にモテることもお伝えした通りです。
ですので、もし薄毛が進行するかもしれないと思って筋トレを躊躇していた方は、安心して筋トレに励んでください。