抜け毛の増加や薄毛の進行は、様々な要因で引き起こされます。しかし誤ったケアは、反対に薄毛を進行させてしまうこともあるため注意しなければいけません。
薄毛を改善させるためには、薄毛を進行させている原因を明確にすること。そして、正しい対策を行うことが重要です。
そこでここでは、薄毛を進行させる原因とその対策について詳しく解説していきます。
この記事を書いたのは?
今回記事を書いたのは、元ヘアコンサルタントの千葉克己です。
私自身、20代半ばから抜け毛が増えはじめました。それで様々な民間療法を試したものの、まったく改善の兆しはありませんでした。
しかし、原因を明確にして適切な対策をはじめてからは、徐々に頭髪が回復。現在は理想の状態を維持しています。
10年以上の薄毛対策で培った知識や経験をもとに、髪に関する価値ある情報を提供していきたいと思っています。
薄毛を進行させる原因① 体質
体質が原因で薄毛は進行してしまいます。
特に男性に多いのが「AGA(男性型脱毛症)」や「遺伝」です。体質が原因での薄毛が進行する場合、専門的な対策が必要なため注意してください。
AGA(男性型脱毛症)
AGAは、主に男性ホルモンの作用によって薄毛が進行する症状です。
AGAを発症すると、ヘアサイクルの中で髪が太く成長する「成長期」が極端に短くなります。そのため、髪が十分に成長できません。結果的に、細い髪の割合が多くなったり短いまま抜け落ちたりしてしまいます。
薄毛の進行パターンには
- 頭頂部から薄くなるタイプ
- 前頭部から薄くなるタイプ
- その両方から薄くなるタイプ
などがあります。
AGAを発症する年代は30~50代に多いです。しかし、20代前半や10代後半に発症するケースもあります。
ここがポイント!
若年で薄毛になった場合、原因がAGA以外と思ってしまい適切なケアができないことから、薄毛が進行するパターンも少なくありません。
AGAの人数は、全国で1,200万人を超えます。20~69歳の男性4,200万人のうち、実に約3人に1人はAGAです。
板見智 大阪大学大学院医学系研究科分子病態医学専攻皮膚科学日本医事新報(4209):27-292004
そのため、男性で薄毛が進行しつつある場合は、まずAGAを疑ったほうがよいでしょう。
またAGAは、一度発症すると適切な治療を行わない限り薄毛が進行し続ける厄介な特徴があります。
AGA発症から5年後には、500円玉サイズの平均毛髪数が、約900本から約650本まで減少しているデータもあるほどです。
Kaufman K D et al. Eur J Dermatol 2002; 12(1): 38-49
そのため、AGAは早めのケアが何よりも重要です。
AGAによる薄毛の進行を止めるためには、医薬品による治療以外に方法はありません。その際、脱毛症診療ガイドラインにもとづいた適切な治療を医療機関で受ける必要があります。
男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版 日本皮膚科学会
一般的にAGAクリニックで行われる治療は、男性ホルモンのジヒドロテストステロンが頭皮に作用して薄毛を進行させるのを防ぐフィナステリドと発毛を促すミノキシジルが処方されます。このように、内服薬と外用薬を組み合わせるケースがほとんどです。
また、頭皮や薄毛の進行状態、患者の希望によって、最適な治療法を提案してくれるでしょう。クリニックの中には、薄毛改善に効果的な成分を頭皮内に直接注入するメソセラピーや、赤外線の照射などを行うところもあります。
AGAが原因で乱れたヘアサイクルを正常に戻すためには、最低でも半年以上は治療を続ける必要があります。ただし、薄毛改善までの期間には個人差があるため、薄毛の進行度合いや年齢によっては、1年以上必要な場合もあるでしょう。
ここがポイント!
なお、AGA治療は自由診療のため保健は適用されません。そのため、保険診療よりも料金は高くなります。クリニックによって治療費は異なりますが、月15,000~30,000円が相場でしょう。
AGA治療は、AGAクリニックの他に皮膚科や内科でも受けることができます。しかし、AGAの専門医がいないことが多く、総合的なAGA治療ができない可能性があるため注意してください。
たとえば、プロペシアの単体処方のように、AGAの進行を遅らせるだけの治療が行われる場合があります。一方、AGAクリニックは専門性が高く実績も多いため、薄毛の進行を抑えるだけでなく発毛も希望するならば、AGAクリニックで治療を受けるほうがよいでしょう。
ただし、AGA治療は副作用が出ることがあるため、注意してください。男性ホルモンの働きを弱めるフィナステリドやデュタステリドは性欲減退や抑うつ症状、発毛を促すミノキシジルは頭皮の赤みや多毛症、頭痛などが発生することがあります。副作用が心配な人は、医師に相談することをおすすめします。
遺伝
遺伝によって薄毛が進行するケースもあります。AGAも遺伝の1つですが、他にも薄毛になりやすい体質や女性が薄毛になるFAGA(女性男性型脱毛症)も遺伝が原因で発症することが多いです。
FAGAもAGAと同様に民間療法では薄毛の進行は止められないため、対策のためには医療機関での治療を受けなければいけません。なお、遺伝によって薄毛になる可能性があるかどうかは、AGAクリニックで検査することができます。
遺伝で薄毛になりやすい体質の場合、あくまでも抜け毛や細毛が多くなりやすいだけです。そのため、親族に薄毛の人がいるからといって、必ず薄毛になるわけではありません。
しかし、薄毛が進行している場合は、医療機関での適切な治療に加え薄毛の進行を遅らせる生活習慣を送ることが大切です。特に気をつけたい生活習慣は、食生活と運動、そして頭皮ケアです。
ここがポイント!
医療機関で薄毛治療を受けても、食生活が乱れている場合は薄毛が進行することがあります。
そのため食生活では、髪の原料になるタンパク質と髪の生成をサポートするビタミン類、そして腸内環境を整えるための工夫が必要です。
タンパク質は、肉や魚、豆類に、ビタミン類は野菜に多く含まれています。ただし、脂肪分の多い肉類や添加物の多いコンビニ弁当は腸内環境を悪化させる恐れがあるため、食べる量を減らしましょう。
腸内環境を整備するためには、乳酸菌が豊富なヨーグルトや乳酸菌サプリメントスがおすすめです。
また、特に40代以降の男性は定期的な運動を心がけるようにしてください。40代以降は、男性ホルモンのテストステロン分泌量が大幅に低下する時期です。
すると、テストステロンの不足分を補うため、体内では薄毛を進行させる悪玉男性ホルモンのジヒドロテストステロン(DHT)が生成されやすくなります。筋トレ種目を中心に運動すると、DHT対策ができるでしょう。
老人性脱毛症
60代以上で起こる脱毛症が「老人性脱毛症」です。これまで薄毛になっていない人でも、年齢による毛母細胞の働きの低下や血行不良が原因で薄毛が進行します。
老人性脱毛症の場合も、医療機関で治療することができます。治療では、AGAと同様にフィナステリドやミノキシジルが処方されることが多いでしょう。
ただし、高齢になるにつれ副作用の負担が大きくなる傾向にあります。そのため、体への負担が少ない薬の量や治療が行われます。
頭皮環境の悪化
皮脂が出やすい、頭皮が乾燥しやすいなど、髪に良くない頭皮環境を持つ場合も薄毛が進行しやすいでしょう。特に皮脂が多い人は、毛穴に皮脂よごれが詰まりやすく、頭皮に炎症が発生したり髪の成長が阻害されたりします。
皮脂の分泌量が異常に多いことが原因で起こる脱毛は、「粃糠(ひこう)性脱毛症(脂漏性脱毛症)」と呼ばれます。
皮脂の分泌が多い体質の人は、毎日のシャンプーを欠かさず行うことが大切です。ただしシャンプーによっては、皮脂を過剰に除去して余計に皮脂の分泌を促してしまうものがあるため注意してください。
また、頭皮が常に乾燥している場合も注意しましょう。頭皮の水分量が少なくなると、肌バリア機能が低下し、外部からのダメージから頭皮を保護できなくなります。すると頭皮環境が悪化し、抜け毛が増えてしまうことがあります。
この場合、頭皮の水分と皮脂のバランスを保つことが大切です。乾燥が酷い場合は、保湿性の高い育毛剤を使用したり、シャンプーを使わずにお湯だけで髪を洗う「湯シャン」を行ったりしてください。
薄毛を進行させる原因② 頭皮ケア
育毛をサポートしたり頭皮環境をよくしたりする頭皮ケア。しかし、誤った頭皮ケアを続けると薄毛を進行させる原因になるため注意しましょう。
間違ったケアに多いのは、シャンプーやマッサージ、育毛剤の使用です。
頭皮のダメージになるシャンプーの使用
シャンプーは頭皮の毛穴を洗浄し、頭皮環境を健康的に維持するために大切な要素です。しかし、使用するシャンプー剤や洗い方、乾かし方が正しくないと薄毛を進行させてしまいます。
薄毛対策のために、育毛シャンプーを使用している人は少なくありません。しかし育毛シャンプーの中には、頭皮にダメージを与える石油系界面活性剤や添加物が豊富に含まれているものもあります。
このようなシャンプー使い続けると、頭皮にダメージが蓄積して頭皮環境が悪化し、髪の成長を妨げてしまいます。その結果、薄毛が進行してしまうでしょう。
アミノ酸系洗浄成分は、石油系界面活性剤やせっけん系洗浄成分と異なり、洗浄力は強くありません。しかし頭皮へのダメージが蓄積しにくく、適度に皮脂を除去するため、頭皮の水分と皮脂のバランスを保ちやすくなります。
頭皮の皮脂量が多い人は、洗浄力の強いシャンプー剤を使うのではなく、洗い方を工夫して頭皮環境の悪化を防ぎましょう。そのためには、シャンプー前にお湯だけで頭皮を洗うことをおすすめします。その際、指の腹を使って揉み込むように洗うとよいでしょう。
ここがポイント!
このお湯だけの洗髪で、頭皮のよごれの8割以上は落とすことができます。それからアミノ酸系シャンプーで洗うと、毛穴の皮脂よごれをしっかり取り除くことができるでしょう。
髪の洗い方にも注意してください。爪を立てたりゴシゴシ擦るようにしたりして洗うと、頭皮へダメージを与えてしまいます。シャンプー時も、頭皮を揉み込むようにして洗ってください。
髪を乾かす際にも、薄毛を進行させる原因が潜んでいます。たとえば自然乾燥は、頭皮に雑菌を繁殖させる原因になります。雑菌が増えた頭皮は、頭皮の赤みや炎症を招いてしまうでしょう。
頭皮や髪の保護のために、タオルドライも乱雑に行わず、折りたたんだタオルで髪を押さえるようにして水分を吸収してください。
ドライヤーをかける際に、頭皮の間近で温風を当て続けると、頭皮が乾燥してしまいます。このようなやり方を日常的に行うと、適切な水分量が保てず肌バリア機能が低下してしまい、抜け毛が多くなる原因にもなります。そのため、頭皮から20cm以上離れた位置からドライヤーをかけるようにしましょう。
誤ったマッサージ
頭皮の血行促進のために行う頭皮マッサージ。血流の改善は髪の成長を促すために大切ですが、誤ったマッサージは反対に薄毛を進行させてしまうため注意してください。
もっともやってはいけないマッサージは、頭皮を叩くことです。頭皮には無数の毛細血管が走っているためです。
もし頭皮を叩いてしまうと、その毛細血管が切れてしまいます。すると、毛根に栄養や酸素を運ぶ血液が流れなくなるため、薄毛が進行してしまいます。
ここがポイント!
マッサージはあくまでも頭皮にやさしく、後頭部や側頭部から頭頂部に向かって揉み込むように行うことが大切です。
合わない育毛剤の使用
育毛剤の使用は、頭皮環境の保護や育毛促進に大切な頭皮ケアです。しかし、その育毛剤が原因で抜け毛が増えることがあるため注意してください。それは、育毛剤が頭皮に合わない場合です。
育毛剤の成分が頭皮に合わないと、頭皮ケア以前に頭皮へのダメージになることがあります。育毛剤は配合されている成分が商品ごとに異なるため、自分に合った育毛剤を見つけて使用することが大切です。
また、発毛剤と呼ばれる医薬品の「ミノキシジル」が配合されているものもあります。
ここがポイント!
このような発毛剤を使用した場合、ヘアサイクルがリセットされるため、現在生えている細く短い髪が一旦抜け落ちます。そのため、一時的に薄毛が進行することもあるでしょう。
薄毛を進行させる原因③ 物理的ダメージ
物理的なダメージが薄毛を進行させる原因になることもあります。
帽子の着用や特定の髪型をしている場合です。
帽子の着用
ファッションや紫外線から頭皮を守る目的で被る帽子。しかしその帽子が原因で、抜け毛が増えることがあります。頭皮が蒸れたり頭部が締め付けられたりするためです。
特に暑い時期に長時間帽子を被っていると、頭部が蒸れやすくなります。温度が高く湿気が多い頭皮は雑菌が繁殖しやすい環境のため、頭皮環境が悪化しやすいです。
また、帽子がきついと頭部の血流が悪化しやすくなります。すると、栄養分が毛根までしっかり届かなくなります。
このような環境が続くと、日常的に髪の栄養状態が悪くなるため、薄毛が進行してしまいます。帽子以外にも、ヘルメットなど頭に被るものや首を締め付けるシャツなども血流悪化の原因になるため注意してください。
ここがポイント!
対策としては、帽子を一日中かぶり続けないことやサイズに合ったものを選ぶことです。また、通気性の高い素材の帽子を選ぶこともおすすめです。
特定の髪型
髪を引っ張る髪型をしている場合、薄毛が進行する原因になります。これは「牽引性脱毛症」と呼ばれ、性別に関係なく起こる薄毛の症状です。
牽引性脱毛症は、髪を後ろで結ぶケースが多いため、生え際やこめかみ部分の抜け毛が増加しやすいです。そのため、生え際周辺の薄毛が目立ってきたら、できるだけ髪を引っ張らないような髪型にしましょう。
薄毛を進行させる原因④ 頭皮への刺激
頭皮への刺激が多いと、頭皮環境の悪化から薄毛を進行させることにつながるため注意が必要です。
頭皮への刺激の原因には、紫外線や整髪料の使用、塩素、シャワーの温度が高いなどがあります。
紫外線
紫外線は頭皮にとって大敵です。紫外線による頭皮環境の悪化や光老化のためです。
紫外線が原因で肌がダメージを受けると、肌バリア機能の低下し、炎症や湿疹などが起きやすくなります。その結果、毛根もダメージを受け、髪が十分に成長せず薄毛が進行してしまうでしょう。
また光老化は、紫外線を浴びすぎることが原因で起きます。紫外線でシワやシミが引き起こされるように、頭皮も老化してしまうのです。
頭皮の老化は毛根部の活動力の低下を招くため、白髪や抜け毛が増える原因になります。そのため、紫外線対策として帽子を活用しましょう。
ただし、前述したように帽子も薄毛を進行させる原因になり得るため、長時間の着用を避ける、サイズを合わせるなど適切な対策をすることが大切です。
整髪料の使用
整髪料によって薄毛が進行する場合もあります。整髪料に含まれる成分や毛穴がふさがれることが原因になるためです。
ヘアワックスやクリームなどの整髪料の多くは、界面活性剤が配合されています。界面活性剤の使用は、頭皮環境を悪化させる恐れがあるだけでなく、タンパク質を奪う働きもあるため注意しましょう。
髪や頭皮はタンパク質で構成されています。そのため、日常的に整髪料をすることでタンパク質が減少すると、薄毛が進行する原因になってしまいます。
また整髪料が頭皮につくと、汗や皮脂、ほこりなどとともに毛穴をふさぎ、髪の成長を阻害してしまいます。そのため整髪料を使う際は、薄毛を進行させないつけ方をするようにしましょう。
整髪料は頭皮ではなく髪につけるもののため、毛先を中心につけるようにしてください。それだけでも、頭皮につくリスクは格段に低下します。頭皮に負担なく、しっかりセットもできるようなつけ方は、美容師に聞くこともおすすめします。
ここがポイント!
整髪料が髪や頭皮に残らない洗い方も大切です。そのためには、シャンプーをする前にお湯だけで髪を洗う「湯洗い」でしっかり落とすことが重要です。そうすることで、シャンプーによる洗浄力がアップするでしょう。
塩素
塩素は、手や顔の肌荒れを引き起こすのと同様に頭皮へもダメージを与えます。
ほぼ毎日シャワーを浴びている場合、頭皮や髪のダメージが蓄積し、知らないうちに薄毛が進行してしまうことがあります。そのため薄毛の進行を抑えるためには、できるだけ塩素が含まれた水やお湯の使用を控えることが大切です。
有効な対策は、塩素を除去するためのシャワーヘッドを使用することです。これだけでも、塩素によるダメージを大きく減らすことができるでしょう。
シャワーの温度が高い
髪を洗う際のシャワーの温度が高い場合も、髪や頭皮に悪影響を及ぼすため注意が必要です。皮脂よごれをしっかり落とす目的でシャワーの温度を40度以上に設定するケースが、特に皮脂の分泌量が多い人に見受けられます。
しかし、頭皮や髪の健康を考える場合、シャワーの温度は39度以下が適しています。熱すぎるお湯で髪を洗うと、皮脂を過剰に除去する他、頭皮を外部から守るための水分量も減らしてしまうでしょう。
反対にお湯の温度が低すぎる場合も、皮脂よごれが落としきれなかったりシャンプー剤が毛穴に残ったりするため注意してください。シャワーの温度は、38度前後にするとよいでしょう。
薄毛を進行させる原因⑤ 体調の変化
体調の変化は、薄毛を進行させる大きな原因になります。
たとえば、ストレスや無理なダイエット、病気などです。
ストレス
ストレスは自律神経の乱れを引き起こし、血流を悪化させます。毛根にある毛母細胞への血流量が減少すると、抜け毛の原因になる他、新たに生えてくる髪にも悪影響を及ぼしてしまうのです。
栄養状態が悪くヘアサイクルが正常に働かない髪が新しく生えてくると、細い髪や抜け毛が増加します。その結果、薄毛が進行してしまうでしょう。
また、ストレスからくる自己免疫低下が原因で、円形脱毛症が引き起こされる場合があります。ストレスを軽減できない場合、脱毛の箇所が広がる場合があります。
ここがポイント!
そのため、ストレスを日常的に溜めない工夫やストレスを発散する行動をとることが大切です。
一番のストレス対策は、ストレスの原因になるものを取り除くことです。ただ、仕事などでストレスが避けられないこともあるでしょう。
その場合は、以下のような方法でストレスの影響を最小限にとどめることが重要です。
- 適度な運動を続ける
- 趣味に打ち込む
- 良質な睡眠を心がけるなど
無理なダイエット
ダイエットによる薄毛は、女性に多い症状です。健康的なダイエットの場合、肥満が解消され頭部の栄養状態が良くなることから、髪の健康状態も良くなります。
しかし無理な食事制限をするダイエットは、髪に様々な悪影響を与えるため注意してください。
- 栄養不足や貧血
- ストレスの増加
- 血行不良
- 睡眠不足
これらは身体的な影響だけでなく、精神的な影響による薄毛の進行も招いてしまうでしょう。
食事で摂取した栄養は、まず生命維持に必要な内臓へ運ばれます。爪や髪に運ばれるのは後回しになるため、過度な食事制限をすると、生命維持とは関係ない髪への栄養の供給がストップされます。
すると、健康な髪の成長に必要な栄養分がカットされ、毛母細胞の活動が低下。その結果、新しい髪が生えにくくなり薄毛が進行してしまいます。
また食事制限による貧血も、血行不足による頭皮の栄養状態悪化を招くでしょう。
さらに体内の栄養不足によって、睡眠時間の短縮や良質な睡眠が阻害される恐れもあります。睡眠不足は自律神経の乱れや免疫力低下、血圧上昇などを引き起こします。これらは髪にも良くないため、抜け毛を増やす一因になるのです。
このような無理なダイエットによる薄毛の進行を止めるためには、正しいダイエットを行うことが大切です。
もっともやってはいけないことが、無理に食事量を減らすこと。特に、髪を構成するタンパク質の摂取量を減らすことは、抜け毛を増やす大きな原因になります。
ここがポイント!
そのため、バランスの良い食事をとることが大切です。その上で、糖質の摂取量をゆるやかに減らしながら、運動による基礎代謝量アップを図ることをおすすめします。
運動で筋肉量が増えることで、日常的なカロリー消費量も増加します。さらに、運動によって筋肉が動かされると血行が良くなるため、薄毛の改善も期待できるでしょう。
肩こりや首こり
肩や首は、頭部と体をつなぐ重要な部分です。この部分がこることで頭部へ流れる血流量が少なくなり、薄毛が進行してしまいます。特に、デスクワークのような体を動かすことの少ない仕事をしている場合に、肩こりや首こりが起こりやすいため注意しましょう。
また、肩こりは慢性化しやすいことにも気をつけてください。肩こりや首こりが続くと、血行不良も慢性化します。
その結果、血流不足による栄養状態の悪化以外にも、老廃物が蓄積しやすくなります。頭皮に老廃物が溜まると、栄養の運搬をスムーズに行うことができなくなるため、髪が抜けやすくなってしまうのです。
そのため、薄毛対策として肩や首のこりを解消する必要があります。
「凝り」の解消方法には
- マッサージや鍼治療を受ける
- ストレッチをする
- 運動をする
- リラックスする時間を増やす
などがあります。
ストレッチは、1~2時間に1回程度の頻度で首を前後左右に倒し、首の筋肉を伸ばす方法がおすすめです。デスクでもできるストレッチのため、習慣化しやすいでしょう。
またリラックスするためには、半身浴やアロマを活用するなどしてみてください。なお肩や首のこりは、自律神経やホルモンバランスの乱れなどが原因で起きる場合もあります。
眼精疲労
パソコンを操作したりテレビを見たりする時間が長い場合、眼精疲労になりがちです。眼精疲労は目の疲れにとどまらず、頭部への血流が悪化する原因にもなります。
さらに、眼精疲労がひどくなると「VDT症候群」になる可能性もあるため注意してください。
VDT症候群とは
目の疲れやドライアイなどの眼精疲労の症状に加え、肩こりや吐き気、めまいなどを引き起こす症状を言います。
その結果、さらなる血流悪化やストレスの増加を招くため、薄毛もより進行しやすくなるでしょう。
ここがポイント!
対策としては、しっかり目の疲労を取り除くことが大切です。たとえば、目の疲れを感じたらすぐに目を休めます。パソコンやテレビから視線を外し、眼球をぐるぐる回したり遠くの景色を見たりするとよいでしょう。
出産
出産を期に抜け毛が増え、薄毛の進行が止まらないケースがあります。産後の抜け毛はホルモンバランスの乱れによるものがほとんどです。
出産後は、女性ホルモンのエストロゲンやプロゲステロンなどが急激に減少します。その影響で、脱毛が起きやすくなるのです。
影響が出る時期は、ヘアサイクルが休止期に入る産後2~3ヵ月目が多いと言われています。多くの場合、半年ほどで抜け毛はストップするでしょう。
しかし、ホルモンバランスが戻らずに、薄毛の進行が止まらないことがあります。また、抜け毛が増えたことや育児に対するストレス、睡眠不足が原因で抜け毛が続くこともあるでしょう。薄毛の状態が1年以上続く場合もあります。
そのため、産後の薄毛対策には、ホルモンやストレスに対するケアをすることが大切です。
ここがポイント!
まず、育児で忙しい時期ですが、できるだけ規則正しい生活を送るようにしましょう。睡眠時間や食事時間などを一定のリズムにすることで、ホルモンバランスを整えることにつながります。
睡眠に関しては、就寝中の成長ホルモンの分泌を増やすため、22時前には床につきましょう。成長ホルモンは髪の成長をサポートするため、薄毛の進行をストップすることにつながります。
また、食事は肥満にならないように栄養バランスの整った献立にすることが大切です。
次に、ストレス対策のために、運動を日課にすることをおすすめします。全身の血流対策として有酸素運動もよいですが、赤ちゃんとのストレッチを習慣にしてもよいでしょう。
なお、妊娠中に抜け毛が多くなることもあります。ただ、この場合は女性ホルモンや髪の毛自体が多くなる時期のため、抜け毛の本数も自然に増えるケースが多いです。
閉経後
女性の場合、閉経後もホルモンバランスの乱れによって薄毛が進行することがあります。女性ホルモンの分泌量は40代以降に急激に減少し、倦怠感や不眠、ほてり、そして薄毛などの症状があらわれやすくなります。
この時期は、広い範囲で薄毛になる「びまん性脱毛症」になりやすいです。そのため、抜け毛が多くないと感じていても、髪が細くなって分け目が目立つなどの症状が進行しているケースがあります。
ここがポイント!
閉経後の薄毛対策も産後と同じように、規則正しい生活を送ったり良質な睡眠をとることを心がけてください。
また、食事では女性に不足しがちな鉄分を積極的にとりましょう。さらに、女性ホルモンに似た働きをする大豆イソフラボンの摂取量を増やすため、納豆や豆腐などを献立に加えることをおすすめします。
食事だけで栄養バランスを整えるのが難しい場合は、サプリメントを活用してみてください。たとえば、タンパク質やアミノ酸、ビタミン類が豊富なマカや、ホルモンバランスの調整をする働きをするプラセンタなどがおすすめです。
病気
隠れた病気が原因で薄毛が進行しているケースもあるため注意してください。たとえば、抜毛症や膠原病、甲状腺機能亢進症、抗がん剤の副作用などがあります。
病気による薄毛は、必ず医療機関を受診して医師から対処法を聞くことが大切です。
薄毛を進行させる原因⑥ 複合的要因
これまで挙げてきた薄毛を進行させる原因ですが、それらが複合的に組み合わされていることもあります。この場合、1つの原因を排除しても薄毛の進行は止まりません。
ここがポイント!
そのため、まずは心当たりのある原因を知ることが大切です。その上で、1つずつ原因を取り除いていきましょう。
ただし、原因がよくわからない場合は注意してください。適切なケアを行っているつもりでも十分な対策になっておらず、薄毛の進行が止まらないことがあります。
現在は、薄毛専門のクリニックも増えています。性別を問わず、薄毛が気になり出したらAGAクリニックや薄毛外来で医師の判断を仰ぐことが大切です。
まとめ
薄毛を進行させる原因は様々です。
シャンプーやストレスなどが原因の場合は、自己判断で薄毛の進行をストップさせることも可能でしょう。しかしAGAやFAGAの場合は、一度発症すると適切な治療を受けない限り薄毛は進行し続けるため注意してください。