頭皮に違和感を感じて、触ってみると「できもの」ができていた。そんな経験はありませんか。
頭皮のできものは、痛くてかゆくてやっかいです。できものに悩まれる方はたくさんいらっしゃるでしょう。
できものができるのには必ず原因があり、それを予防する方法が存在します。
本記事では、頭皮のできものの基礎知識とできてしまったときの対処法をご紹介します。できものができないようにする予防方法もご紹介するので、参考にしてください。
この記事を書いたのは?
毛髪診断士 佐渡山宗平と申します。
「できものくらい大したことない」とお考えの方はいらっしゃいませんか?
できものを軽く見て早期解決を怠ると、薄毛の原因となったり、深刻な疾患に発展する可能性があります。
この記事では、できものに関する正しい知識などをご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
かゆい!痛い!頭皮のできものの5つ原因を紹介
頭皮にできる、できものにも色々と種類があります。頭皮のできものは身近な悩みのひとつですが、どのような種類があるのかあまり知らない方も多いのではないでしょうか。
はじめに頭皮の代表的なできものをご紹介します。
頭皮ニキビ
顔や背中にできるイメージがあるニキビですが、頭皮にもできます。
頭皮ニキビの原因は皮膚のターンオーバー(肌の新陳代謝)が乱れることが原因です。古い角質が毛穴をつまらせ、皮脂が排出されずに毛穴が炎症を起こしてしまいます。
脂漏性皮膚炎
脂漏性皮膚炎は、頭皮ニキビと同じく赤い発疹ができるのが特徴です。
皮脂の過剰分泌によりマラセチアと呼ばれる真菌が異常に増殖し、頭皮で炎症を引き起こすために起因します。
見た目は頭皮ニキビと似ていますが、頭皮ニキビは痛みを伴う症状があるのに対して、脂漏性皮膚炎は痒みを伴うのがポイントです。
接触性皮膚炎
接触性皮膚炎は、肌がかぶれている状態です。洗浄力の強いシャンプー剤やカラー剤などの刺激で、皮膚にかぶれが起き強い痒みが生じます。
肌のバリア機能が弱まっているときは頭皮が刺激を受けやすいため、洗浄力の強いシャンプーなどを使うと症状が出やすくなります。
原因となっているシャンプーやカラー剤などの使用をやめないと症状を繰り返すことがあるため、接触性皮膚炎が疑われるときは速やかに使用を中止してください。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、湿疹や紅斑(赤いブツブツ)が頭皮にできてしまう症状です。
皮膚の乾燥やバリア機能が低下する皮膚の病気であるアトピーに、さまざまな刺激やアレルギー反応が加わって強い痒みを生じます。
痒みのある部分を掻きむしってしまうのはやめましょう。皮膚のバリア機能がさらに低下し、症状が悪化してしまいます。アトピー性皮膚炎に止まらず、感染性疾患になることも考えられますので注意が必要です。
粉瘤
粉瘤は、皮膚のすぐ下の表皮にできる良性の腫瘍です。
皮膚の表面が盛り上がって柔らかいシコリができるのが特徴で、垢などの老廃物が表皮にできた袋の中に溜まることでできます。
頭皮など毛の多いところにできる粉瘤は、外毛根鞘性嚢腫や多発性毛包嚢腫などと呼ばれます。
通常は痛みも痒みもありませんが、粉瘤内で炎症が生じた場合に赤く腫れて痛みを伴う、炎症性粉瘤に移行することもあります。
頭皮に赤いできものができる原因
頭皮にできものができるのは珍しいことではありません。では、どうして頭皮にできものができてしまうのでしょうか。
ここでは、頭皮にできものができる原因を解説していきます。
傷
シャンプーの際に爪を立ててしまったり、ヘアピンなどを引っ掛けてしまうと頭皮に傷がつきます。そこから雑菌が侵入すると、傷口で炎症が起きてしまうのです。
頭皮は他の皮膚と違い皮脂や汚れがたまりやすく、雑菌が傷口から入りやすい特徴があります。他の皮膚のように強くないので注意が必要です。
ストレス
ストレスも頭皮にできものができる原因のひとつです。
ストレスが溜まると、交感神経が優位になり男性ホルモンの分泌量が増加します。男性ホルモンは皮脂の分泌を促進するホルモンのため、頭皮の皮脂が増えてしまうのです。
ストレスを貯めると皮脂が原因のニキビや脂漏性皮膚炎ができやすい頭皮環境になってしまいます。
生活習慣
生活習慣の乱れも、頭皮にできものができる原因となりえます。
不規則な生活習慣を続けると自律神経が乱れ交感神経が優位になったり、ホルモンバランスが乱れてしまうのです。
前述の通り、交感神経が優位になると皮脂の過剰分泌によりニキビや脂漏性皮膚炎ができやすい頭皮環境になってしまいます。
規則正しい生活を心がけましょう。
食生活
食生活の乱れも、頭皮のできものには影響します。ビタミンやミネラル、タンパク質を取らずに脂質の摂取に偏った食事をしていると、皮脂が増えてしまうのです。
皮脂の分泌量が増えれば、前述の通り頭皮にニキビが増えたり、脂漏性皮膚炎になってしまったりします。
また、ビタミンやミネラル、タンパク質は表皮を作ったり皮膚トラブルの予防に非常な重要な働きをしています。食生活の乱れは頭皮環境の悪循環を生んでしまうのです。
日光
日光に含まれる紫外線は、頭皮の水分を蒸発させて乾燥状態にさせます。
乾燥した頭皮はバリア機能が弱まり、普段は問題なく使っていたヘアカラーやシャンプーなどにも敏感に反応してしまうのです。過敏になった頭皮では炎症が起きて、できものができる原因になってしまいます。
紫外線が多く降り注ぐ夏は特に注意が必要です。必要に応じて通気性の良い帽子などを被って紫外線から頭皮を守りましょう。
ヘアケア
間違ったヘアケアをおこなってしまうのも、頭皮にできものができる原因のひとつです。
例えば、口コミが高評価という理由で自分の頭皮に合わないシャンプーを使い続けると、頭皮で炎症が生じて接触性皮膚炎を引き起します。また、ヘアオイルなどのつけすぎも毛穴を詰まらせ、ニキビのできるリスクを高めます。
自身にあった成分のヘアケア製品を選び、最適な量を適度に使用しましょう。
かゆみは早めに対処!ケアしないと起こる可能性のある症状
「たかがかゆみ」と侮ってはいけません。重篤な疾患が影に潜んでいることを見落としてしまう可能性もあります。適切な対処を行い、早めに治しましょう。
ここでは、ケアしないと起こる可能性のある症状をご説明します。
皮膚がん
頭皮に皮膚腫瘍ができるケースもあります。日本人で発症する確率は高くありません。
原因はさまざまですが、最近では紫外線が影響して頭皮や顔面に発症するものも増えているようです。
出血したりジクジクしたりするなら、病院で診察するのがいいでしょう。
リンパ管炎
アトピー性皮膚炎など、リンパ節に炎症を起こすとリンパ管炎を起こす場合があります。炎症を起こしているリンパ節の箇所や周囲が赤く腫れたり、押すと痛みが生じる症状です。
また炎症に伴い、その箇所が熱くなったり、風邪のように気だるく、さらに発熱したりすることもあります。
リンパ節は後頭にあります。もし似たような症状があったら、早めに病院に行きましょう。
薄毛
頭皮にできたニキビを放置すると薄毛に繋がることもあります。
そもそもニキビができるということは、頭皮に皮脂の分泌過多や毛穴のつまりが起きている証拠です。毛穴のつまりは、頭皮の血流を悪化させ、髪の毛を作る細胞に栄養や酸素を十分届けることができなくなります。
そのため、栄養や酸素が十分に細胞に届かなければ髪の毛は育ちません。生えてたとしても弱々しく、簡単に抜け落ちてしまうのです。
健康な髪を育てる上で頭皮の環境は非常に重要です。
頭皮のできものの予防ケア・対処方法を紹介
痛くてかゆい頭皮のできものですが、正しいヘアケアを行うことで予防することができます。
これを機会にご自身のヘアケア方法を見直してみてください。
正しい方法でシャンプー
間違ったシャンプーの方法は、頭皮を傷つける恐れがあります。
まず軽くブラッシングを行い、髪についた汚れを落としましょう。
次にシャンプーの泡立ちがよくなるように、ぬるま湯で髪を濡らして予洗いします。ここで重要なことは熱いお湯ではなく、ぬるま湯で行うという点です。熱いお湯は頭皮への刺激になってしまいます。
シャンプーを泡立てて髪に付けたら、指の腹を使って頭皮を優しくマッサージするイメージで洗いましょう。
間違っても爪を立てないように注意してください。頭皮を傷付けてしまうと、炎症が起きたり、薄毛を余計に進行させてしまいます。
洗い終わったら最初と同様にぬるま湯で、汚れやシャンプーのすすぎ残しがないよう丁寧に洗い流しましょう。
長時間ドライヤーをしない
お風呂から出たら、タオルでゴシゴシ拭くのではなく、押し付けるように水分を拭き取って下さい。
ドライヤーを使う場合は、15cm程度離して1ヵ所に熱が集中しないように気をつけましょう。熱が集中すると頭皮がダメージを受けたり、乾燥しすぎてしまったりします。
しっかり保湿する
できものができづらい頭皮環境を作るために、頭皮用の保湿液などをドライヤー後に適量塗布します。
頭皮用として謳っているものもあるので、薬局などで薬剤師や登録販売者に相談して購入するのがおすすめです。
病院に行く
化粧品や市販の医薬品で改善が見られない場合は、皮膚科に行きましょう。
脂漏性皮膚炎の場合は、慢性化しやすく自然根治が難しいといわれています。
ただのできものと油断してはいけません。「治りが遅い」「市販薬でもかゆみが静まらず掻きむしってしまう」などの場合は、速やかに皮膚科医に相談し、適切な治療を受けましょう。
頭皮のできものは悪化する前に早めの対策を
頭皮のできものは、多くの人が経験したことがある悩みのひとつです。進行すると薄毛や深刻な疾患に発展する可能性もあります。侮っていると痛い目にあうかもしれません。
もしも頭皮にできものができたときは、自身の生活習慣や使っているシャンプーなどを見直して早期に原因を特定しましょう。症状の改善が見られなかった場合は、投薬や皮膚科の受診をおすすめします。
まとめ
・「できもの」には頭皮ニキビや脂漏性皮膚炎など多くの種類がある
・頭皮のできものは、傷やストレスや脂質に偏った食生活、頭皮の環境の悪化が原因
・できものができるときは頭皮環境が悪く、薄毛に繋がる可能性がある
・できものの予防には正しい方法でシャンプー、ドライヤーを行い、頭皮を保湿することが重要